2012/08/27

17年間


 日本でプロ選手としてのキャリアをスタートし、その後は幸運にも数ヶ国でプレーをする事ができた。 ジェフ、ヴェルディ、セレッソ、ザスパとそれぞれの色のある素晴らしいクラブに在籍してプレー出来た事を幸せに思う。

 海外では多様な宗教や文化、自分の知らない考え方と価値観を持つ人々の中で生活をして、常に不公平とチャンスの中にいた。 自分がそれまでに培って支えにしてきた知識や価値観は、時に身動きを鈍くするという事も知った。 

 日本でも海外でも様々な街に暮らした。そこに住んで初めて分かる事、違和感のように感じていた事は、少しずつ理由を知ると共にいつのまにかその土地への愛着へと変わっていった。重石を自分で取り払ったのか、周りの人々に知らぬ間に取り払われたのか、現地の暮らしに馴染み、サッカー以外の余計なものに囚われず、大切な家族と多くの時間を過ごしていると、サッカーと自分の間にある贅肉が削ぎ落とされていくのを感じる。

 そこに行かなければ見えない景色を見た事、そこでプレーしなければ分からない理屈を感じた事、そしてそれぞれの場所で多くの友人と出会った事は今の自分の財産である。

 アメリカでの2シーズンも最後の最後まで本当に面白かった。昨夜のホームゲームは自分の現役最後のものとなったが、最後のゲームを家族の前でプレー出来た幸運を嬉しく思う。 17年間のプロ選手としてのキャリアを終える事にはなるが、それは、これから第二の人生を歩むという事ではなく、これまでそうして来たように、これからも限りある一度の人生を家族とサッカーに寄り添って生きていくという事だと思う。 

 これまで長く自分を支えてくれていた本当に多くの人々に深く感謝しながら、これからも自分らしくサッカーを続けていきたい。