2006/03/20

esperanza


 これまでサッカーに携わり、世界の様々な場所で様々な仲間とボールを蹴ってきました。そこで学んだ事、得た経験は掛け替えのない物として蓄積され、今の自分にとって常に大きなエネルギーとなっています。

 自分が実際に眼で見てきた沢山の出来事。その中でも、日本に帰ってからも常に心の中から湧き上がる思いがあります。昨年末に、同じ思いを持つ仲間の助けを得て、このプロジェクトを立ち上げる事が出来ました。

 プロジェクト・エスペランサのページが正式オープンしました。esperanzaとはスペイン語で希望を意味します。南米で「お前の名前の望って、どんな意味?」と聞かれると、いつも「‘esperannza’。」と答えていたものでした。覚えたスペイン語の中でも一番好きな言葉です。今後、少しずつでもサッカーを愛する人々に、このプロジェクトが持っている思いを伝えていけたらと思います。

 写真はパラグアイリーグ開幕直前の練習試合で、ポーズをとるチームメイト。観戦無料の練習試合には、大勢の子供達がグラウンドを訪れる。パラグアイでは、サッカーは誰もが楽しめる唯一の娯楽と言っても良い。

2006/03/10

蔚山現代戦


 蔚山現代戦は残念な結果に終わったが、チームの方向性と課題とを見出せた試合になった。国際試合の舞台は、普段の生活では決して感じることの出来ない、代え難い経験になる。

 リハビリ明けの初めての試合となったので、試合前に痛み止めの注射を射っての出場となった。短いミーティングの後、選手がウォーミングアップに出かけロッカールームは空になる。注射はその隣にあるスタッフの控え室で射ってもらった。刺さる針の痛みを紛らわし、ふと周りを見ると、部屋に簡易に作られた祭壇に、監督が祈りを捧げていた。かなりの時間をかけて注射を射ち終わった後も、その祈りは続いていた。

 南米でプレーしていた時、試合前には必ず選手とスタッフ、そして関係者全員が集まり輪となって祈りを捧げた。リベルタドーレス杯やオリンピアとのダービー、決勝戦等の特に大事な試合の前には地元の神父も駆けつけてくれた。自分はキリスト教徒ではなかったが、皆の純粋な祈りの輪の中にいて、吹っ切れたように全力で試合に臨んでいくチームメイトに大いに影響されていた。信じていなくても、神に祈りたくなるほど心の底から勝ちたいと思った試合も数多くあった。自分に足りていなかった何かを得た経験だった。

 ロッカールームで監督が祈る姿を見て、日本に帰ってきてから自分が忘れていたようにも思えた気持ちになる事が出来た。J1に復帰することは容易では無いかも知れないが、出場する試合の全ての時間で力を出し切り、チームとサポーターの祈り、願いを叶えたい。

 写真は試合前日の宿泊ホテルから見える東京タワー。東京に戻ってきたことを実感する。